凝り固まった目のピントを遠くに合わせるべく、有給を利用して静岡の伊東にある界アンジンに行ってきた。
星野リゾートの中でも界は温泉が併設されているので、のんびりと過ごすにはもってこいの場所だ。
車窓から見た東京駅の風景
伊東までは特急踊り子号で向かった。
東京駅から伊東駅までは約100分ほどで行ける。
思っていたよりも近い。
新幹線で熱海まで行って乗り換えるという選択肢もあったが、そこまで時間は変わらないので乗り換えのない踊り子号で行くのがおすすめ。
平日だったため、通勤に向かう人々の多さに驚いた(外国人旅行客も多かった)。
普段はリモートワークで部屋に籠っている分、この人混みは辛いところがある。
伊東にある宿泊施設が書かれた提灯がお出迎え
乗り物酔いに悩まされながら、うつらうつらしているとあっという間に伊東駅に着いた。
駅内は飲食スペースや駅弁の販売があったりと意外に充実していた。
もちろん、隣にある熱海駅に比べるとかなり規模は小さいが。
駅を出ると寂れたロータリーがある。
手作り感のある提灯が歓迎してくれてなんとも言えない気持ちにさせてくれる。
界アンジンまでは徒歩15分、タクシーだと5分で行ける。
チェックインまで時間があるし、せっかくなら伊東の街並みを見て行きたいので周囲を散策することにした。
伊東駅の目の前にある商店街
駅前を出るとすぐに鄙びた商店街が広がっている。
海に近いだけあって魚介系の飲食店や干物屋が多い。
この商店街を抜けてしばらく歩くと海が見えてくる。
ヤシの木が良い味を出している
夏休み中ということもあってか海水浴場はけっこう賑わっていた。
海が好きな人は早速水着に着替えて海へ飛び込むのだろうが、生憎到底そのような気持ちにはなれず海を眺めていた。
いつからか、海で泳ぐ楽しみよりも砂や海水で体が汚れないかとかクラゲがいないかとかそういった心配が勝るようになってしまった。
実際、砂で身の回りの物が汚れたり、クラゲに刺されて痛い思いをしたベースがあるからそういった心配が起こるのだろうが、大人になることで失ってしまった純粋さへの呵責に苛まれる。
界アンジンの外観
ごついマンションがあるなと思いながら海沿いを歩いていたら、これが界アンジンだった。
近くに行って客室の窓を見ると、当然のように中にいる人の顔まで見える。
目の前には道路があって、車の往来も多いのでちょっと恥ずかしくなりそう。
昼食を終えてからは荷物を預けるためにチェックイン前だが界アンジンに寄った。
本当はこの強烈な日差しと暑さの中なので早くチェックインしたかったが、15時からなのでそれまでは近くをぶらぶらすることにした。
伊東大川の河口
近くの河口にウミネコがたくさんいたのでずっと眺めていた。
淡水魚である鯉もいたので驚いた。
調べると鯉は基本的には淡水で生活するが、汽水域でも生きることができるらしい。
赤い花と海のコントラストが綺麗
側には伊東で活動している彫刻家である重岡建治のオブジェがたくさん置かれたなぎさ公園がある。
涼しければベンチに腰掛けて海を眺めていたかった。
暑すぎたのでカフェで時間を潰してからチェックインした。
ホテル名の「アンジン」は、江戸時代初期に日本に滞在したイギリス人航海士「三浦按針(ウィリアム・アダムス)」に由来している。
三浦按針は西洋人として初めて日本で侍となり、また日本の造船技術に大きな貢献を果たした歴史的な人物である。
そのため、館内には航海士の生活や文化を彷彿とさせる装飾が施されており、当時の航海や海の冒険の雰囲気を少なからず感じることができる。
マットレスはふわくもスリープ
部屋に入ると船の古材を使ったアートが効果的に配置されており良い雰囲気。
逆光でうまく撮れず
界アンジンの部屋は全室オーシャンビューを楽しめる。
ただ、思っていたよりも部屋が狭くて窮屈な感じがした(もちろん部屋に依るのだろうが)。
また、先ほども言及したように道路を挟んでいるため外から丸見えなのでちょっとリラックスしにくいのが気になる。
サンブエナデッキから見る相模湾
部屋に居ると落ち着かないので界アンジンの目玉であるサンブエナデッキへ。
按針によって建造されたガレオン船「サン・ブエナ・ベントゥーラ号」がこの名前の元になっている。
伊東オレンジビーチを眺める
サンブエナデッキからは相模湾と海水浴場である伊東オレンジビーチを一望できる。
海を見ながら飲むビールは最高
界アンジンではビールが飲み放題なので早速いただいた。
ビールの銘柄はヤッホーブルーイングが製造しているインドの青鬼である。
インドの青鬼はIPA(India Pale Ale)に分類される。
なぜ界アンジンでインドの青鬼が提供されているのかというと、それは按針が生きた大航海時代と深く関係している。
IPAは元を辿れば英国からインドまでの長い航海でも品質を保つために、アルコール度数を高めホップを多く使用して作られたビールである。
界アンジンはこのビールを提供することで按針が航海した時代の雰囲気を感じさせようとしているのだろう。
この歴史的な背景を知った上で味わうビールは普段とは違う特別な味わいをもたらしてくれる。
ただ、インドの青鬼は美味しいのだが苦味が強く、せっかくの飲み放題なのにたくさん飲むのはなかなか難しいかもしれない。
初島が見える
サンブエナデッキの上の階には見晴らしの良い展望台がある。
後から知ったのだが、伊東では8月に花火大会が開催される。
目の前の海で花火が上がるのでこの展望台から見たらさぞ素晴らしい景色が広がるだろう。
せっかくならその時期に合わせて予約を取れば良かった(争奪戦必至だが)。
夕食は17時台と19時台から選べた。
お腹が空いていたので17時台から夕食開始。
どの料理もお世辞抜きに美味しかった。
文字も針金で表現されている
また、食事処はアーティスティックな壁で仕切られており、半個室で周りを気にせずに食事を楽しめる。
壁は場所によって意匠が異なるので一周してみるのもおすすめ。
特に新聞記事を針金で表現した壁が気に入った。
食事を楽しんだ後はホテルの屋上にある大浴場へ向かった。
ホテル自体の部屋数が少ないこともあり、運良く大浴場は貸切状態。
静かで落ち着いた雰囲気の中、心ゆくまで温泉を堪能することができた。
泉質はアルカリ性単純温泉の循環式で特に珍しい成分や効能があるわけではないが、それでも体をしっかりと温め、疲れを癒してくれる。
何よりも魅力的だったのは露天風呂の開放感。
夜空の下で湯船に浸かりながら広がる景色を眺める贅沢なひとときは日常の喧騒を忘れさせてくれた。
お風呂から上がった後はビールとアイスキャンディを楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごした。
冷えたビールの爽快感と甘いアイスキャンディのひんやりとした口当たりが、温泉後のリラックスした体に染み渡りなんとも言えない満足感に浸った。
こうして、贅沢なひとときを存分に味わい、心も体もリフレッシュすることができた。
左上の鍋にスコッチブロスが入っている。写真撮り忘れた
朝食は9時から始まり、ホテルの朝食メニューとしては少し珍しい料理が登場した。
その1つが「スコッチブロス」である。
スコッチブロスはスコットランドの伝統的なスープで、主に大麦、野菜、肉がたっぷり入った、栄養満点の一品。
このスープは見た目は素朴だがじっくり煮込まれた素材の旨味がしっかりと溶け出していて朝の体を優しく温めてくれる。
伊東オレンジビーチを散策
チェックアウトは12時までと、通常のホテルに比べてもゆったりとした時間設定がされていたため、朝は慌てることなく部屋でのんびりと過ごすことができた。
名残惜しさを感じつつも、リフレッシュした心と体で東京への帰途に就いた。
界アンジンでの滞在は都会の喧騒を忘れさせ、自然と歴史に包まれた贅沢な時間を与えてくれる特別な体験となった。
これからまた日常に戻るわけだがこの旅で得た癒しとリフレッシュの感覚を心に留めながら日々を大切に過ごしていこうと思う。